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 実体あり。アンドロイドが普通に普及して、なおかつ、あんまり優遇されてない。不遇ってほどでもないですが。
 思春期レンくんとメイコさんとカイト。
 格好良くて艶やかなメイコさんを目指してみました。

 年長組のお仕事は楽しいことばっかじゃないかもしれないけれど。

 →(1)(2)(3)(4)(5)



 最近、レンはやたらとカイトに突っかかる。
 目の敵……とは言わないまでも、カイトがやることなすこと、いちいち癇に障るらしい。
 そんな態度をとられているカイトはといえば、困ったように笑うだけで、叱ることもない。
 本人がそんな調子なので、メイコもレンに強く言うこともできず、きっぱりとした態度を見せないカイトにすら苛立ちを感じていた。
「うるさい、バカイトのくせに、えらそーにすんな!」
「バカイトって、ひどいなあ」
 レンの暴言を受け流すカイトに、レンの方が悔しげに唇を噛みしめる。メイコはそんな二人をみてため息をついた。
 仕事に行く時間も迫っていて、レンに理由を聞く時間もない。かといって、オフの二人をこのままにしておくのも気がかりだった。マスターはミクとリンの方の仕事へついていってしまっている。
「……レン、あんた、今日は私の荷物持ちしなさい。カイト、ミクとリンの世話頼むわね」
 問答無用準備なさいと言い渡して、五分で出ると告げる。カイトと一緒にいるよりはと考えたのか、特に反抗もせずばたばたとレンがリビングを出て行くのを見ていると、カイトが声をかけてくる。
「姉さん、ありがと」
「いいわよ。っていうか、あんたも何で叱んないの。そっちにもイライラしてんだからね」
 ぎろりと睨みつけると、肩の位置に両手を上げたカイトが小さく笑った。
「いや、ちょっと心当たりがあって、その通りだったらむしろ嬉しいかなあと」
 だからうまく叱れないんだよね、と言う。
「……なんなのよ、それは」
「うーん、勘違いだったら恥ずかしいから、姉さんが聞き出してみてよ」
 結局丸投げなのね、と肩をすくめる。
「メイ姉!!」
 玄関からレンの声がする。リビングに顔を出すつもりはないらしい。
「さって、それじゃお姉さんはお仕事に行ってくるわね。ひとりで外に出るんじゃないわよ」
「大丈夫だよ。行ってらっしゃい、気をつけて」
 人の良い笑顔に見送られて、贔屓の野球チームのキャップの下で、ふてくされた顔をするレンと並んで家を出た。
 荷物持ち、の名目通り、メイコは小さなショルダーバッグのみで、楽譜などが入った小ぶりのボストンバッグはレンに持たせている。
「今日の予定を言っておくわね」
 少し後ろを歩いて隣に並ぼうとしないレンにかまわず、仕事の予定を言っておく。
「だから、帰りは十一時過ぎるかもしれないわね」
「……そんな時間まで子供(おれ)を使ったりしたら、労働法違反じゃねーのかよ」
「あら、アンドロイド(わたしたち)に人権なんてないわよ」
 知らないの?とわかっててメイコは言う。
 レンにしてみても言ってみただけなので、ぷいと横を向くだけで反論はしない。
 今日の予定はそれなりにそれなりなので、目にしたレンがどんな感想を持つか、賭けに近いものがある。
 それでもメイコは自身の仕事を隠すつもりもないので、いつも通りに今日の現場へ向かう。

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