2008,12,24,Wednesday
13.裸マフラーなKAITOを、MEIKOはどう思ってるのでしょうか?の、
その日の夜、帰ってきてから。
レン、カイト、メイコ。
まったりモード。
レンを付き人として伴ってのメイコの一日は、番組の収録後、新しい曲のPVについての打ち合わせで終わった。
収録での一件でレンの屈託も多少はなくなったようで、メイコの軽口にも多少ぶっきらぼうないつもの調子で返していた。
自宅前でタクシーを降り、玄関で「ただいまー」と声を上げるメイコに、レンも続く。
「お帰り、姉さん、レン。お疲れ様」
居間から顔を出したカイトに、レンは二階へと上がりながらもう一度小さくただいまと言ったが、もちろん、耳のよい家族にはきちんと聞こえている。
驚いたように目を見開いたカイトを、メイコはちらりと見やって、レンの背中に向かって言った。
「レン、今日はありがと。あと、お疲れ様。お風呂入って、さっさと寝なさいね」
「ん。メイ姉もお疲れ」
ひらひら手を振られ、メイコは居間に入る。カイトはその手の荷物を受け取って、ソファの横に置いた。
時間が時間だからか、妹達はすでに自室で寝ているようだった。
「姉さんもお疲れ様」
いつものように笑うカイトを横目に、メイコはソファに座った。
「ありがと。……それ、さっさとしまったら?」
カイトは食器をしまっていたらしく、薄い皿を手にしたままだった。
「あ、そうだった」
食器棚を開く音、食器が重なる音が、キッチンから聞こえてくる。家族の中で一番扱いが丁寧なので、その音は小さい。
足音に気をつけて階段を降りる気配は、風呂へ向かっていた。
目を閉じてそれらを聞くともなしに耳にしながら、メイコは弟に言う。
「レンね、あんたの推測通りだったわ」
「あ、本当? よかったー……」
心底安心した声がして、メイコは笑った。
「なーに、わかってたんじゃないの?」
「そうだったらいいな、とは思ってたけど、わからないじゃないか」
ほんの少し拗ねたように、けれど嬉しそうな口調で、カイトは言った。
「……そういえば、姉さんの歌う姿、最近見てないなあ」
下の弟妹ができたことで、どちらかが誰かの仕事につくことが多くなり、以前のように二人で行動することは稀になって久しい。
生で本気で歌う姿は、もうどれくらい見ていないのか、メイコもすぐには思い出せない。
「いいなあ、レン……」
いつものやさしい兄としてより幼いことを口にする弟に、メイコはどこかくすぐったい気持になる。
「そういってもらえて光栄だわ。……っと、レンはまたカラスの行水ね……」
ぱたぱたと軽い足音が二階へと上がっていく。メイコたちにとって風呂という習慣は、埃を落とす以外になんの意味もないが、それにしても早すぎる。
普段ならば、きちんと洗っているのか問いただすところだが、今日はもう遅い。寝かせるほうを優先させるべきだろう。
メイコは目を開けて、食器の片付けが終わったらしいカイトを見る。
「アンタもさっさと入ってきなさい」
キッチンから出てくるカイトと入れ替わりに、冷蔵庫を開ける。缶チューハイを手に戻る。
「……飲むの?」
「悪い? 私は明日が休みだもの」
あんたは仕事でしょ、とメイコはリビングから追い出す。カイトは肩をすくめて、それ以上反論せずに出ていく。
缶を開け、くいっと飲む。口の中で炭酸がはじけるのが分かった。
ほのぼの?
きょうだいなふたりが最近気になってたりー。
クリスマスネタは遅刻してあげる……予定です。予定。。。。
その日の夜、帰ってきてから。
レン、カイト、メイコ。
まったりモード。
レンを付き人として伴ってのメイコの一日は、番組の収録後、新しい曲のPVについての打ち合わせで終わった。
収録での一件でレンの屈託も多少はなくなったようで、メイコの軽口にも多少ぶっきらぼうないつもの調子で返していた。
自宅前でタクシーを降り、玄関で「ただいまー」と声を上げるメイコに、レンも続く。
「お帰り、姉さん、レン。お疲れ様」
居間から顔を出したカイトに、レンは二階へと上がりながらもう一度小さくただいまと言ったが、もちろん、耳のよい家族にはきちんと聞こえている。
驚いたように目を見開いたカイトを、メイコはちらりと見やって、レンの背中に向かって言った。
「レン、今日はありがと。あと、お疲れ様。お風呂入って、さっさと寝なさいね」
「ん。メイ姉もお疲れ」
ひらひら手を振られ、メイコは居間に入る。カイトはその手の荷物を受け取って、ソファの横に置いた。
時間が時間だからか、妹達はすでに自室で寝ているようだった。
「姉さんもお疲れ様」
いつものように笑うカイトを横目に、メイコはソファに座った。
「ありがと。……それ、さっさとしまったら?」
カイトは食器をしまっていたらしく、薄い皿を手にしたままだった。
「あ、そうだった」
食器棚を開く音、食器が重なる音が、キッチンから聞こえてくる。家族の中で一番扱いが丁寧なので、その音は小さい。
足音に気をつけて階段を降りる気配は、風呂へ向かっていた。
目を閉じてそれらを聞くともなしに耳にしながら、メイコは弟に言う。
「レンね、あんたの推測通りだったわ」
「あ、本当? よかったー……」
心底安心した声がして、メイコは笑った。
「なーに、わかってたんじゃないの?」
「そうだったらいいな、とは思ってたけど、わからないじゃないか」
ほんの少し拗ねたように、けれど嬉しそうな口調で、カイトは言った。
「……そういえば、姉さんの歌う姿、最近見てないなあ」
下の弟妹ができたことで、どちらかが誰かの仕事につくことが多くなり、以前のように二人で行動することは稀になって久しい。
生で本気で歌う姿は、もうどれくらい見ていないのか、メイコもすぐには思い出せない。
「いいなあ、レン……」
いつものやさしい兄としてより幼いことを口にする弟に、メイコはどこかくすぐったい気持になる。
「そういってもらえて光栄だわ。……っと、レンはまたカラスの行水ね……」
ぱたぱたと軽い足音が二階へと上がっていく。メイコたちにとって風呂という習慣は、埃を落とす以外になんの意味もないが、それにしても早すぎる。
普段ならば、きちんと洗っているのか問いただすところだが、今日はもう遅い。寝かせるほうを優先させるべきだろう。
メイコは目を開けて、食器の片付けが終わったらしいカイトを見る。
「アンタもさっさと入ってきなさい」
キッチンから出てくるカイトと入れ替わりに、冷蔵庫を開ける。缶チューハイを手に戻る。
「……飲むの?」
「悪い? 私は明日が休みだもの」
あんたは仕事でしょ、とメイコはリビングから追い出す。カイトは肩をすくめて、それ以上反論せずに出ていく。
缶を開け、くいっと飲む。口の中で炭酸がはじけるのが分かった。
ほのぼの?
きょうだいなふたりが最近気になってたりー。
クリスマスネタは遅刻してあげる……予定です。予定。。。。